ブログに置いてた仏兄さんとマリーアントワネットについての妄想です
牢の中にいる一人の女を見て、フランスは眉を寄せた。
美しかった黄金の豊かな髪は燃え尽きてしまった灰のような白で、そのことに彼は悲しみを覚えたのだ
。
女の名は、マリー・アントワネット。
この美しきフランスの国の女王。
誰もを虜にするような美貌で
優しい清廉な聖母のような笑みを浮かべることをフランスは知っていた。
底冷えするような寒さ、暗さ、錆びた鉄の香り。
ここはあまりにも彼女に似合わなすぎる。
かつん、と靴音を響かせて牢に前に立つ。
ああ、こんなにもやせ細ってしまった。
柵越しの彼女は酷く疲れきっているようだった。
「Bonjour」
「…フランシス」
「貴女がここに居ると聞いて、やって来てしまいました。
Comment allez-vous?」
「来てくれてありがとう。
でも残念ながらここは居心地がよくありません。
酷く寒いですし、日差しも入りませんし。
…そんな顔をしないで頂戴。」
何故彼女よりも俺のほうがつらい顔をしているのだろうか。
彼女の方がつらいだろうに。
けれど俺が悲しまず誰が悲しむというのか?
俺が嘆かず誰が嘆くというのか。
この国で、彼女を惜しむものがいるというのか。
民は皆彼女を憎み、殺そうとしている。
…知らないくせに。
美しいその髪も、声も、優しい微笑みも、子への愛情も。
何も知らないくせに。彼女を滅ぼそうとするのだ。
一個人としての彼女を見ずに、女王としての彼女を。
そして、彼女が死にゆくのを俺は止められないのだ。
止められないのだ。
「フランシス、ねえ…」
「貴方を犠牲にしてしまう俺を、どうか」
許してくださいと続けようとして口をつぐんだ。
俺は、許されようとしたのか、彼女を殺すのに。
許されるはずなどないのに、と顔を伏せて拳を硬く握った。
体の奥が微かに疼く。
鈍くちりちりと、それは歓喜を伴っていて彼を憂鬱にするだけの力を持っていた。
彼女を失うことで新しく始まる何かを体が迎合しているのだ。
フランスの感情を置いて。
そっと、暖かさが拳を包んだ。
ばっと顔を上げると、目の前には彼女が居た。
「ねえ、フランシス。
私は貴方を恨んでいませんよ。」
子を慰めるように柔らかく目を細めて彼女はそう言った。
この優しい人を、俺は殺すのだ。
ああ、神よ。
貴方はやはり残酷だ。
そんな過去の夢をみて、起きた後憂鬱になっている兄さんが見たい。
切実に見たい。
それでも誰にも気づかれないようにいつもどうりに振舞う兄さん。
そんな兄さんに違和感を覚える英。
「なんかお前、今日変じゃないか?」
「え?
そんなことないですよ?いつものおにーさんですよ?」
ってごまかす兄さん。
それを見て嘘付け、顔色わるいじゃんかと内心苦々しく思う英。
だれか書いてくれないかなあ
切実に。